病院に長く勤めていたころ、患者さんの治療をする際の姿勢や環境、車いすへの移乗を手伝ったりする中で、自分自身の体の痛みで苦しんだ時期もありました。それでも、患者さんの状態が改善し、動きやすくなっていくことを共に感じられる仕事にやりがいもあり、楽しさもありました。その一方で、ボバース概念のインストラクターとして、土日は講習会での指導、平日は病院業務、この肉体労働を何歳までできるだろうか?と不安も感じながら。そんな時に、フェルデンクライスメゾットと出会い、何歳になってもよりよく動くため、痛みからの解放やそして何より動くことの楽しさ、発見と喜びがありました。ドイツでボバースコンセプトのシニアインストラクターであり、フェルンデクライスのプラクティショナーであるゲリンデ先生のフェルデンクライス・ボバースの2つメゾット違いなどを考える講習会を受ける機会がありました。その中で個別性に対する治療と、そして自分自身の内観に着目しながら運動行動を見つめ直すフェルデンクライスのATMレッスン(Awareness Through Movement (ATM) = 動きを通した“気づき”)を受けている患者さんと出会うこともできました。片麻痺のある女性や頭部外傷で失調症状がある方が共に健常者と一緒にレッスンを受けながら、その人の学びを深めていく体験をしました。そして患者さんの家族が一緒にレッスンを受けることで、家族の方も自分自身のコンディションを整えるだけでなく、患者さんが抱えている問題を体を通して理解する機会でした。そのドイツでの経験が、フェルンデクライスを深く学びたいという原動力となり、患者さん、その家族がよりよく生活を送ってい行くための手助けができる機会を与えてくれました。